読書記録、時々つぶやき

東京都在住、5歳と2歳の女の子を育てながら看護師をしています。

読書記録:消人屋敷の殺人 深木章子

「嵐の山荘」のような隔絶された屋敷で起こる連続殺人。よくある設定だけどやっぱり密室ものには心惹かれる。

 

 

大学生の幸田真由里は、偶然書店で見つけたベストセラー作家、黒崎冬華(深山大輝と西条かほりの共同ペンネーム)の小説が、数年前、小説家を志して絶縁された兄、淳也の書いていた小説とそっくりであることに気が付く。兄が無事にデビューできたのだと嬉しく思った真由里は、兄を訪ねていくが、兄は失踪していた。兄の行方を捜す中、真由里は兄が共同執筆をしていたのではないかと気が付き、その相手新條誠を訪ねるが新條本人も失踪していると新條の兄、篤史に聞かされる。

淳也と誠の行方を捜す中で二人に黒崎冬華から、日影荘(その昔、完全に密室の屋敷内から大量の人が消え、消人屋敷と言われるいわくつき)への招待状が届く。
罠かもしれないと思いつつ、淳也と誠への唯一の手掛かりのために、大嵐の中、日影荘に向かう二人。

そこで出迎えてくれたのは黒崎冬華の担当編集者と、深山大輝とあうが、招待状自体がにせものだと突っぱねられる。帰るよう促されるが大嵐の中、二人はあとからやってきた同じく招待状をもつ編集者の司とともに屋敷にのこることとなった。

大嵐のため土砂崩れがおき、屋敷につながる道路は分断、救助をもとめた電話をした際、数日は無理だを言われる。外と連絡が取れることに安心していたのもつかの間、電話線がなにものかによって切られ、家政婦が跡形もなく消えてしまった。

密室の屋敷に取り残された5人が疑心暗鬼で過ごす中、連続殺人が幕をあける。

 

 

 


以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

密室の特性を生かした、緊迫感とはりめぐらされた叙述トリックによって、結末がまるで違う方向へ転がりだす。

苗字表記の登場人物と、男女どちらともとれる描写にまんまとだまされた。

トリックが明かされる場面は、まったく登場人物がつながらず前にもどって読み返したくらい。

屋敷に伝わる消人の秘密と、今回の連続殺人のトリックがつながっていくところも読みごたえがあり面白かった。

隔絶された屋敷でおこる殺人といえば、綾辻行人さんの館シリーズが好きなんだけど、この作品も見事にだまされた。